A故事・諺①-1
1.栴檀は双葉より芳し。
(せんだんはふたばよりかんばし)
栴檀が発芽したばかりの頃から香気を放つように、大成する人物は子供のときから人並みはずれて優れたところがあるというたとえ。
「栴檀」は香木である白壇のこと。
2.糟糠の妻は堂より下さず。
(そうこうのつまはどうよりくださず)
貧しいときから苦労を共にしてきた妻を、自分が立身出世したからといって家から追い出すわけにはいかないということ。
「糟糠」は酒かすと米ぬかのことで、粗末な食物のたとえ。
3.天網恢恢疎にして漏らさず。
(てんもうかいかいそにしてもらさず)
天は厳正であり、悪事を行った者は早晩、罰を受けることになるということ。
4.轍鮒の急。
(てっぷのきゅう)
車が通った跡のくぼみにできた水溜りにいる鮒の意より、差し迫った危機や困難のたとえ。
5.瓜田に履を納れず。
(かでんにくつをいれず)
瓜畑で靴を履きなおそうとかがむと、瓜を盗んでいるのではないかと疑われる意より、人に疑念を抱かせるような行動は慎むべきであるという戒め。
6.昔とった杵柄。
(むかしとったきねづか)
若い頃にしっかりと鍛えて身につけた技能や腕前のこと。
7.人間万事塞翁が馬。
(にんげんばんじさいおうがうま)
人生の吉凶や禍福の転変は予測しがたいことのたとえ。
8.桜三月、菖蒲は五月。
(さくらさんがつ、しょうぶはごがつ)
時季の花をいった言葉。桜は三月、菖蒲は五月が見頃であるということ。
9.元の鞘に収まる。
(もとのさやにおさまる)
いったん絶交または絶縁したものが再びもとの関係に戻ることのたとえ。
10.下手な按摩と仲裁は初めより悪くなる。
(へたなあんまとちゅうさいははじめよりわるくなる)
なまじ下手な仲裁が中に入ってあれこれ言うと、事態はいっそう悪くなるということ。
11.暖簾に腕押し。
(のれんにうでおし)
手応えや張り合いがないことのたとえ。
12.虎に翼、獅子に鰭。
(とらにつばさ、ししにひれ)
そうでなくても強い虎と獅子が、さらに鳥の翼や魚の鰭を得れば、空や水の中でも力を発揮できるようになり、ますます強くなるということ。
13.親の欲目と他人の僻目。
(おやのよくめとたにんのひがめ)
親というものはわが子に対しては甘く、実際よりひいき目に見てしまいがちであるが、他人は逆に実際よりも辛い評価を下す傾向があるということ。
14.挨拶は時の氏神。
(あいさつはときのうじがみ)
争いごとが起きたときに仲裁してくれる人は、氏神様のようにありがたいものだから、その仲裁には素直に従うほうがよいということ。
15.正鵠を射る。
(せいこくをいる)
物事の要点や急所をついていること。
「正鵠」は、弓の的の中心にある黒い点のこと。
16.鴛鴦の契り。
(えんおうのちぎり)
「鴛鴦」はおしどりのこと。おしどりは雄と雌がいつも寄り添っていて離れないことから、夫婦仲のむつまじいことのたとえ。
17.苛政は虎よりも猛し。
(かせいはとらよりもたけし)
過酷な政治のもとにある人民の苦しみは、虎に食われて命を落とす苦しみよりも甚だしいということ。
18.一富士二鷹三茄子。
(いちふじにたかさんなすび )
夢に見るもの、特に初夢に見ると縁起がよいとされるものをめでたい順に並べた句。
19.失策は人にあり、寛恕は神にあり。
(しっさくはひとにあり、かんじょはかみにあり)
人間は失敗を犯すものであり、人間の犯す罪を神は許して下さるということ。
20.奇貨居くべし。
(きかおくべし)
珍しい品物であるから、今買っておけば将来利益が得られるということ。転じて、得がたい好機が巡ってきたら逃すことなく、うまくこれを利用すべきだということ。