A故事・諺①-2
1.幽谷より出でて喬木に遷る。
(ゆうこくよりいでてきょうぼくにうつる)
春になると、深山の鳥が暗い谷間から出て高い木に飛び移る意より、学徳や地位が上昇することのたとえ。
2.蕎麦の花見て蜜を取れ。
(そばのはなみてみつをとれ)
初秋に蕎麦の花の咲いた後が、蜂蜜を採取するのにちょうどいい時期であるということ。
3.袈裟と衣は心に着よ。
(けさところもはこころにきよ)
単に袈裟や衣を身につけただけでは信仰しているとはいえず、袈裟を心の上につけることによって、初めて真の仏道信仰になるということ。
つまり、外見より中身が肝腎であることのたとえ。
4.夫婦喧嘩は犬も食わぬ。
(ふうふげんかはいぬもくわぬ)
選り好みせずに何でも食べる犬でさえ、夫婦喧嘩には見向きもしないという意。
夫婦喧嘩へつまらないことが原因で起こり、すぐ仲直りするものだから、他人が仲裁するものでないということ。
5.浩然の気を養う。
(こうぜんのきをやしなう)
俗世の煩わしさから解放され、おおらかで伸び伸びとした心持ちになること。
6.理屈と膏薬はどこにでもつく。
(りくつとこうやくはどこにでもつく)
膏薬げ体のどこにでもつけられるように、どんなことにももっともらしい理屈をつけることは可能であるということ。
7. 世渡りの殺生は釈迦でも許す。
(よわたりのせっしょうはしゃかでもゆるす)
お釈迦さまも、生活をするための多少の不道徳や無慈悲な行いは、やむを得ないと認めるということ。
8.出藍の誉れ。
(しゅつらんのほまれ)
青色の染料は藍から得るが、もとの藍より青くなるという意より、弟子の才能や業績が師のそれよりも上回ることのたとえ。
9.門前雀羅を張る。
(もんぜんじゃくらをはる)
門前にすずめが群れて網で捕らえられるほどに、訪れる者もなく、寂れ果てているさまのたとえ。
10.一斑を見て全豹を卜す。
(いっぱんをみてぜんぴょうをぼくす)
物事の一部分だけを見て、全体を推測すること。
11.万緑叢中紅一点。
(ばんりょくそうちゅうこういってん)
多くの男性の中に、一人だけ女性がいることのたとえ。また、多くのものの中に、ただ一つだけ目立つものがまじっていることのたとえ。
12.渇すれども盗泉の水を飲まず、熱しても悪木の陰に息わず。
(かっすれどもとうせんのみずをのまず、ねっしてもあくぼくのかげにいこわず)
いくら苦しくて困っていても、不正や不義には手を出さないことのたとえ。
13.網呑舟の魚を漏らす。
(あみどんしゅうのうおをもらす)
網の目が粗いために、舟をのむほどの大魚までも逃す。 法律が大まかであるために大罪人を逃してしまうことのたとえ。
14.柳下恵は飴を見て老人を養う物とし、盗跖は錠を開くるに良き物とす。
(りゅうかけいはあめをみてろうじんをやしなうものとし、とうせきはじょうをあくるによきものとす)
柳下恵=中国春秋時代の賢人。
盗跖=古代の大盗賊、数千人の手下を率いた。二人は兄弟だったという説もある。
同じ飴を見ても、柳下恵はお年寄りにあげれば喜ぶだろうと思い、盗跖は盗みに入る時の道具になると思う。品性によって見方は変わるものだということ。