C故事・諺-1
1.敷居を跨げば七人の敵あり。
(しきいをまたげばしちにんのてきあり)
男がいったん家の敷居をまたぐと、外にはすでに多くの敵が待ち構えているという意味から。
「七人」は「多くの」という意味。
2.嬰児の貝を以て巨海を測る。
(えいじのかいをもってきょかいをはかる)
とうていできないこと。幼児が海で大海をくみだすことは、あまり隔たりすぎて比較にならないこと。
3.魯魚の誤り。
(ろぎょのあやまり)
字形がよく似た文字の書き誤りやすいこと。
4.菱蔓ほど子ができる。
(ひしづるほどこができる)
子がたくさんできてめでたいこと。「ひしづる」は、ひしの根から出る蔓(つる)。
5.深淵に臨んで薄水を踏むが如し。
(しんえんにのぞんではくひょうをふむがごとし)
深い淵をのぞきこむ時のように、また薄い氷の上を歩く時のように、こわごわと慎重に行動すること。転じて、危険に直面していることの形容。
6.画餅に帰す。
(がべいにきす)
画餅に帰すとは、計画などが実現できなくて、無駄に終わることのたとえ。
7.尾を塗中に曳く。
(おをとちゅうにひく)
亀は死んで占いに使われて尊ばれるよりは、生きている亀として泥の中で尾を引いているほうがよい。高位高官になって束縛されるよりは、貧しくても自由に暮らすほうがよい。
8.冠履を貴んで頭足を忘る。
(かんりをたっとびてとうそくをわする)
それぞれに頭と足があってこそ利用価値があるものだが、冠や履をありがたがってその根本の頭足を忘れている物事の本を軽んじ、末を重んじることをたとえていう。
9.鞍掛け馬の稽古。
(くらかけうまのけいこ)
なんの役にも立たない無駄な練習のたとえ。 「鞍掛け馬」は木馬のことで、木馬に乗って乗馬の練習をしても役に立たないことから。
10.一文銭で生爪剥がす。
(いちもんせんでなまづめはがす)
酷いけちんぼうのたとえ。 わずかな金の為に自分の身体を傷つける事もいとはないと言う意味から。
11.戎馬を殺して狐狸を求む。
(じゅうばをころしてこりをもとむ)
小さな利益のために大きな犠牲を払うことのたとえ。
12.秋の日は釣瓶落とし。
(あきのひはつるべおとし)
秋の日は急に暮れるという意。 「釣瓶落とし」は、井戸の中へ釣瓶が落ちてゆく速さ。 そんな速さで秋の日は暮れるということ。
13.片手で錐は揉めぬ。
(かたてできりはもめぬ)
錐をもむためには両手が必要であり片手では揉めない、ということから物事をするには力を合わせて協力をすることが大切であるということ。
14.纏まる家には金もたまる。
(まとまるいえにはかねもたまる)
団結する家族には金もたまりやすい。
15.錆に腐らせんより砥で減らせ。
(さびにくさらせんよりとでへらせ)
刀を錆びさせて使えなくするより、砥いで磨り減るまで使え。転じて、人生、命や能力を無駄にせず社会のために使いなさいという意。
16.八朔は婿の泣き節供。
(はっさくはむこのなきせっく)
八朔とは、陰暦8月朔日(ついたち)。 この日、農家で田実(たのみ)の節句を祝う。 これを過ぎると収穫の時期で忙しくなり、メーンの労働力である婿は昼寝もできなくなることをいう。
17.洞ヶ峠を決め込む。
(ほらがとうげをきめこむ)
自分にとって都合が良い方につこうとして、どちらつかずな態度で様子をみることのたとえ。
「豊臣秀吉」と「明智光秀」が争ったとき、「筒井順慶」が京都と大阪の境にある「洞が峠」で陣を張り、どちらか戦況が有利な方に味方しようとしたという故事から出た言葉。
18.ニ竪に冒される。
(にじゅにおかされる)
病気・病魔におかされる。
竪=竪子=子供。晋の景公が病気になったとき、病気の神が二人の童子の姿となって現れる夢を見たことから。
19.虚仮の後思案。
(こけのあとじあん)
愚かな者は、必要なときに知恵が出ず、事が過ぎてから考えが浮かぶものであるということ。
20.猩猩は血を惜しむ、犀は角を惜しむ、日本の武士は名を惜しむ。
(しょうじょうはちをおしむ、さいはつのをおしむ、にほんのぶしはなをおしむ)
猩猩は血を惜しむ、犀は角を惜しむの意味どんな者にも、大切にして守り通すべきものがあるたとえである。