B故事・諺②-1
1.欲の熊鷹、股裂くる。
(よくのくまたか、またさくる)
あまり欲張ると、災いを招くというたとえ。二頭の猪をつかんだ熊鷹が、左右に逃げようとした猪を放さなかったために、熊鷹の股が裂けてしまったという話から。
2.田も遣ろう、畦も遣ろう。
(たもやろう、あぜもやろう)
何もかも与える。 相手かわいさに、分別もなく何もかも与えることのたとえにいう。
3.文章は経国の大業、不朽の盛事。
(ぶんしょうはけいこくのたいぎょう、ふきゅうのせいじ)
文章は、国を治めるための重大な事業であり、永久に朽ちることのない盛大な仕事である。
4.繫がぬ舟の浮きたる例なし。
(つながるふねのうきたるためしなし)
男はつなぎとめておかなければ、ふらふらと風任せだというたとえ。
5.鶏群の一鶴。
(けいぐんのいっかく)
多くの凡人の中に、一人だけ抜きん出てすぐれた人がまじっていることのたとえ。
6.孤掌鳴らし難し。
(こしょうならしがたし)
片方の手のひらだけでは、手を打ち鳴らせないところから、人間は一人だけでは生きられないこと、事をなしとげられないことのたとえ。
7.狐狸の精、尾を露す。
(こりのせい、おをあらわす)
化けた狐や狸の尻尾が見えてしまい、正体がばれること。 転じて、隠していたことが分かること。
8.胡蝶の夢。
(こちょうのゆめ)
夢か現実かはっきりわからないさま。また、人の世がはかないこと、人生がはかないことのたとえ。
9.天地は万物の逆旅、光陰は百代の加客。
(てんちはばんぶつのげきりょ、こういんはひゃくだいのかかく)
この世のすべてのものは、はかなく変わりやすいものだということ。「逆旅」は宿屋の意。天地を万物が訪れては立ち去っていく宿に、月日を永遠に歩み続ける旅人にたとえる。
10.口吻花を生ず。
(こうふんはなをしょうず)
優れたことを言う。 また、漢詩や和歌などを口に出して詠むこと。
11.立錐の余地がない。
(りっすいのよちがない)
木に穴をあける道具の錐(きり)の細い先すら立つほどのごくわずかな余地すらないという狭い土地のたとえから、転じて人や物がぎっしりと詰まって隙間のない状態を表すようになった。
12.巧詐は拙誠に如かず。
(こうさはせっせいにしかず)
巧みにいつわりごまかすのは、つたなくても誠意があるのには及ばない。
13.土用の丑に鰻。
(どようのうしにうなぎ)
土用の丑の日は季節の変わり目にあたる為に体調を崩しやすいので、鰻を食べて栄養をつけるということ。 鰻にはビタミンAやビタミンB群など、疲労回復や食欲増進に効果的な成分が多く含まれている。
14.魚の釜中に遊ぶが如し。
(うおのふちゅうにあそぶがごとし)
危険が迫っていることも知らずにのんきにしていることのたとえ。やがて煮られることも知らずに魚が釜の中を泳ぎまわっていることから。
15.味噌漉しで水を掬う。
(みそこしでみずをすくう)
苦労しても効果のないことのたとえ。籠で水を汲んでも、編み目から水が漏れて溜まらないことから。
16.采薪の憂い有りて朝に造る能わず。
(さいしんのうれいありてちょうにつくるあたわず)
「采薪の憂い」は、病気で薪をとりに行けないことから、自分の病気をへりくだっていう語。病気があり、朝廷に伺候することが出来なかったということ。
17.大山も蟻穴より崩る。
(たいざんもぎけつよりくずる)
大きな山も小さな蟻 (あり) の穴からしだいに崩れる。ちょっとした油断がもとになって大きな災難を招くことのたとえ。
18.旅の犬が尾を窄める。
(たびのいぬがおをすぼめる)
自分が威張っていられる家の中などでは威勢がいいが、外へ出ると意気地がなくなることのたとえ。犬が自分のなわばりから出ると、威勢がなくなり尾を垂れることから。
19.歳寒くして松柏の凋むに後るるを知る。
(としさむくしてしょうはくのしぼむにおくるるをしる)
寒い冬にこそ、他の植物がしおれても、松や柏(このてがしわ)は緑を保っていることがわかる。 人の真価は艱難(かんなん)にあって初めて知られるたとえ。
20.負け相撲の痩せ四股。
(まけずもうのやせしこ)
相撲に負けた後で、四股を踏んでも力強さを感じない。という意味から、負けてから強がっても、少しも威力を感じない。