B故事・諺①-3
1.肝胆相照らす。
(かんたんあいてらす)
お互いに心の奥底まで打ち明けあって、親しく交際すること。「肝胆」は、肝臓と胆嚢のこと。転じて、心の奥底の意。
2.帰心矢の如し。
(きしんやのごとし)
自分の家や故郷に帰りたいと思う気持ちが非常に強いこと。「帰心」は、故郷や我が家に帰りたいと願う心の意。
3.得手に帆を揚げる。
(えてにほをあげる)
自分の得意とする分野で力を発揮する好機をつかみ、ここぞとばかりに張り切ること。
4.断じて行えば鬼神も之を避く。
(だんじておこなえばきしんもこれをさく)
断固とした態度で行えば、鬼神でさえその勢いに気 (け) おされて避けて行く。決心して断行すれば、どんな困難なことも必ず成功することのたとえ。
5.大行は細謹を顧みず、大礼は小譲を辞せず。
(たいこうはさいきんをかえりみず、たいれいはしょうじょうをじせず)
大事を成し遂げようとする者は、小さなことにこだわったり、つまらない失敗をきにかけたりしないで、目標に向かって積極的に行うべきであるということ。
6.鞠と手と歌は公家の業。
(まりとてとうたはこうけのぎょう)
鞠は蹴鞠、手は書道、歌は和歌のこと。 公家のたしなみ。
7.鸚鵡能く言えども飛鳥を離れず。
(おうむよくいえどもひちょうをはなれず)
鸚鵡は人間の言葉を真似るのが上手であるが、所詮は鳥でしかない。口先ばかりが達者で、実際の行動が伴わないことのたとえ。
8.鷹匠の子は鳩を馴らす。
(たかじょうのこははとをならす)
子供は親の仕事を見よう見真似で自然に覚えていくというたとえ。鷹匠の子は、親が鷹を飼育するのを見て、まずは鳩から自分の手で飼いならすということから。「鷹匠」は将軍や大名に仕えて鷹を飼育し、鷹狩りに従った者。
9.井蛙は以て海を語るべからず。
(せいあをもってうみをかたるべからず)
井戸の中に住んでいる蛙に、海の話をしても、理解することができないから無駄であるということ。
10.矯めるなら若木のうち。
(ためるならわかぎのうち)
樹木の枝などの形を整えるなら柔らかい若木のうちにせよということ。 人間の悪い癖や欠点なども若いうちになおすのがよいというたとえ。 「矯める」は曲げたり伸ばしたりして形を整えること。
11.遠慮なければ近憂あり。
(えんりょなければきんゆうあり)
遠い将来のことを考えずにいると、必ず目前に心配事が起こる。
12.金槌の川流れ。
(かなづちのかわながれ)
金槌は頭の部分を下にして川を流れていくことから、人に頭のあがらないことのたとえ。また、出世の見込みのないこと。
13.薬の灸は身に熱く、毒な酒は甘い。
(くすりのやいとはみにあつく、どくなさけはあまい)
体に良い灸は熱いが毒になる酒はおいしいように、身のためになる忠告や諌言(かんげん)は素直に聞き入れがたいが誘惑には乗りやすいものであるということ。
14.窪き所に水溜まる。
(くぼきところにみずたまる)
くぼんだ所に水が自然に溜まるように、条件の備わったところは自然によい成り行きになることのたとえ。