A故事・諺②-3
1.天を仰いで唾する。
(てんをあおいでつばきする)
天に向かって唾を吐くと、自分の顔に落ちてくることから、人に害を与えようとして、かえって自分自身がひどい目にあうことのたとえ。
2.蜘蛛の子を散らす。
(くものこをちらす)
蜘蛛の子の入っている袋を破ると、蜘蛛の子が四方八方に散らばっていくところから、大勢のものが四方八方に散り散りになって逃げていくことのたとえ。
3.糠に釘。
(ぬかにくぎ)
糠に釘を打つのと同じように、何の手応えも効き目もないことのたとえ。
4.鼎の軽重を問う。
(かなえのけいちょうをとう)
君主の権威を疑って、その地位を奪おうとすること。また、権威や権力を有するものの能力や実力を疑うこと。
5.塗炭の苦しみ。
(とたんのくるしみ)
泥にまみれ火に焼かれるような、ひどい苦しみのこと。「塗」は泥、「炭」は火の意。
6.貴賤の分かつところは行の善悪にあり。
(きせんのわかつところはぎょうのぜんあくにあり)
人の尊さや卑しさは、その人の行いの善悪により決定されるものであって、身分や地位によって決まるものではないということ。
7.独活の大木。
(うどのたいぼく)
体ばかり大きくて、何の役にも立たない人のたとえ。独活は、若芽のうちこそ食用になるが、大木になると柔らかすぎて建築材料にもならないことから。
8.鳶が鷹を生む。
(とびがたかをうむ)
平凡な親から、優れた子どもが生まれるたとえ。
9.付け焼き刃は鈍りやすい。
(つけやきばはなまりやすい)
その場しのぎで身につけた知識は、すぐに底が割れてしまうということ。一時のごまかしは長く続かず、やがてぼろが出てしまうということ。
10.知らぬ神より馴染みの鬼。
(しらぬかみよりなじみのおに)
知らない神様より、よく知っている鬼のほうがまだましだの意より、たとえどんなものであっても、疎遠なものより慣れ親しんだもののほうか勝るというたとえ。
11.鍋釜が賑わう。
(なべかまがにぎわう)
生活が豊かであること。
12.濡れ手で粟。
(ぬれてであわ)
濡れ手で粟をつかむと粟粒がたくさん付いてくることから、苦労しないで利益を得ること。
13.枇杷が黄色くなると医者が忙しくなる。
(びわがきいろくなるといしゃがいそがしくなる)
枇杷の実が黄色く熟すのは初夏であり、夏になると病人が増えだすので医者が繁盛するということ。
14.匹夫も志を奪うべからず。
(ひっぷもこころざしをうばうべからず)
身分の低い者でも意志が堅固であれば、何人もその志を変えさせることはできないということ。堅い志を持っている人は、身分や業績にかかわらず、軽視してはならないということ。