B故事・諺②-2
1.馬革に屍をつつむ。
(ばかくにしかばねをつつむ)
戦死した者を馬の皮に包んで送り返す。 転じて、戦場で死ぬこと。 また、従軍した以上は生還を期さないという勇士の覚悟をいう。
2.叩くに小を以てすれば則ち小鳴す。
(たたくにしょうをもってすればすなわちしょうめいす)
小さく叩けば、それに見合った小さな音でしか鳴らない。 つまり、大きな事を成し遂げようと思ったら、それに見合うだけの多大な努力をしなければならないという意。
3.眼光紙背に徹す。
(がんこうしはいにてっす)
あたかも眼光が書物の紙の裏側まで見通すかのごとく、書かれた言葉の真意を深く理解するような深い読解力があること。
4.湯の辞儀は水になる。
(ゆのじぎはみずになる)
風呂に入るときに遠慮して譲り合っていると、湯が冷めてしまう。 遠慮も、時と場合とによることのたとえ。
5.漆喰の上塗りに借金の目塗り。
(しっくいのうわぬりにしゃっきんのめぬり)
しっくいの上に塗ってもはげる。 借金もその場限りのしのぎを付けてみても、結局ぼろを出す。
6.匕首に鍔を打ったよう。
(あいくちにつばをうったよう)
不釣り合いなこと。
「匕首」とは鍔のない小刀のことで、「鍔」は刀剣の柄と刀身との境に挟み柄を握る手を防御するもの。
短い小刀に鍔を付けても不釣合いなことから。
7.虎豹の駒は食牛の気あり。
(こひょうのくはしょくぎゅうのきあり)
虎や豹の子はまだ幼いうちから牛を食うほど意気さかんであるの意から、 大人物は幼少のときから常人とは違ったところがあることのたとえ。
8.至貴は爵を待たず。
(しきはしゃくをまたず)
真の貴さは爵位などによるものではない。この上なく貴い地位の人には爵位などは必要ないということ。
9.人を呪わば穴二つ。
(ひとをのろわばあなふたつ)
他人に害を与えれば、必ず自分にかえってくるものである。 他人を呪い殺せば、自分も相手の恨みの報いを受けて呪い殺され、相手と自分の分で墓穴が二つ必要になることから。
10.愁眉を開く。
(しゅうびをひらく)
ひそめていた眉根をもとにもどす意から、悲しみや心配がなくなって、ほっと安心した顔つきになる。悲しみや心配がなくなる。安心する。
11.虎の能く狗を服する所以のものは爪牙なり。
(とらのよくいぬをふくするゆえんのものはそうがなり)
虎が犬を服従させられるのは、強力なツメとキバがあるからである。 転じて、君主が臣下を従えられるのは君主に徳と法があるからであるということ。
12.駿馬痴漢を乗せて走る。
(しゅんめちかんをのせてはしる)
せっかくの名馬が、つまらぬ男を乗せて走る。美人が下らぬ男の言いなりになっていることなどに使われる。とかくこの世はうまくいかないたとえ。
13.青麦に小熟れ稲。
(あおむぎにこうれいね)
麦はまだ少し青いときに、稲は十分成熟した時に、刈り入れるのがよいという意。
14.盤根錯節に遇いて利器を知る。
(ばんこんさくせつにあいてりきをしる)
「盤根錯節」は絡まり合った根っこや入り組んだ木の節。 切ることが困難な木を切るときに、はじめて使用する道具の真価を判断することができる。人間も困難な事態を迎えて、はじめて実力を知ることができることをいう。