B故事・諺②-3
1.麦藁蛸に祭鱧。
(むぎわらだこにまつりはも)
タコは、麦の収穫の6月頃、ハモは夏祭りの頃がうまいという意味で、どちらも旬の時期をいったもの。
2.辛夷の花の盛りが苗代の盛り。
(こぶしのはなのさかりがなわしろのさかり)
こぶしの花の開花する頃に、田植えを始めるのが最適だという言い伝え。
3.生は塵垢なり、死生は昼夜たり。
(せいはじんこうなり、しせいはちゅうやたり)
生は塵や垢と同じで、それらが集まって生命となり、また生命が塵や垢に戻っていく。よって生死は昼夜の変化と同じなのだ、という意。
4.座敷の塵取団扇ですます。
(ざしきのちりとりうちわですます)
団扇と内輪の掛けことばになっていて、内祝いの意味の洒落言葉。
5.傘と提灯は戻らぬつもりで貸せ。
(かさとちょうちんはもどらぬつもりでかせ)
傘と提灯は、必要な時以外は忘れがちな物だから、貸す時は返してもらえないつもりで貸せということ。
6.金蘭の契り。
(きんらんのちぎり)
きわめて親密なかかわり。
その交わりの堅さは金をも断つほどであり、その美しさは薫り高い蘭のようだという意から。
7.紅籏征戎吾が事に非ず。
(こうきせいじゅうわがことにあらず)
朝廷の旗(紅旗)をおしたてての朝敵征伐であろうと、自分にはまったく関係のないことであるという意。
8.修身斉家治国平天下。
(しゅうしんせいかちこくへいてんか)
天下を治めるには、まず自分の行いを正しくし、次に家庭をととのえ、次に国家を治め、そして天下を平和にすべきである。
9.澹泊の士は必ず濃艶の者の疑うところとなる。
(たんぱくのしはかならずのうえんのもののうたがうところとなる)
さっぱりとした性格の人は、ねちねちした性格の人から敬遠されるということ。
10.鬼の女房に夜叉がなる。
(おにのにょうぼうにやしゃがなる)
鬼のような冷酷な夫には、それと釣り合う同じような女が女房になるということ。 似たもの夫婦のこと。
11.大海を耳搔きで測る。
(たいかいをみみかきではかる)
広大なものに、非常に小さい力量で対抗しようとするさま。 自分だけの狭い考えで、大きな問題をおしはかろうとすること。 浅薄な知識や料簡(りょうけん)しかないのに、大きな問題を論じたり、判断を下そうとすることのたとえ。
12.昔は槍が迎えに来た。
(むかしはやりがむかえにきた)
かつては槍長刀の共揃いがいたと言っていることになるので、かつてはいっぱしの武家であったと言っていることになります。部下である槍持ちが迎えに来るような家、立場にあったということ。
13.絞兎死して走狗烹らる。
(こうとししてそうくにらる)
うさぎが死ぬと、猟犬も不要になり煮て食われる。 敵国が滅びたあとは、軍事に尽くした功臣も不要とされて殺されることのたとえ。
14.鳥窮すれば則ち啄む。
(ちょうきゅうすればすなわちついばむ)
追い詰められると何をするかわからないということ。 鳥でも窮地に陥ると、くちばしでつつくという意味から。